
公務員として数年働いてきましたが、人間関係や仕事内容が辛いです。
辛いと感じる自分は甘いのでしょうか?実際、公務員ってきつい仕事なのでしょうか?
公務員と言えば「事務仕事でラク。毎日定時退社。一生安泰」というイメージが、いまだに世間では根強く残っています。そんな中、辛いと感じてしまう自分は甘いのではないか、贅沢な悩みなのではないか、と思う人もいますよね。
11年目の県庁職員である私も、楽しいことも辛いこともたくさん経験してきました。メンタル不調で辞めていく先輩・後輩も、たくさん目にしています。そこで本記事では、公務員の辛い現実を解説し、甘えではないこと、今後どうすればいいのかを解説していきます。
本記事を読むことで、辛いと感じてしまうのは、決してあなただけではないし、あなたが弱いわけではないことが分かります。公務員を辞めたいと少しでも考えている人は、最後までご覧ください。
公務員の辛い現実14選

公務員として働くのが辛いと感じる理由は、次のいずれかに当てはまるのではないでしょうか。
- 残業が多すぎる
- 誰でもできる仕事すぎる
- 災害・コロナ等の緊急対応がある
- 客を選べない
- 給料が低いし上がらない
- 異動がガチャすぎる
- 世間のイメージとギャップがある
- 独特な人間関係
- 年功序列制度
- 意思決定までの道のりが長い
- 無能上司が多い
- 残業神聖視
- 事なかれ主義すぎる
- メンタルを壊しやすい
それぞれの項目について詳しく解説します。
1.残業が多すぎて辛い
残業を前提としているとしか思えない職員配置の部署は少なくありません。多忙な部署では業務内容が膨大かつ多岐に渡るため、1人でいくつも業務を抱えたり、一業務あたりの負担がかなり大きかったりします。
実際、わたしが過去に配属された福祉系の部署では、1人でメイン級の業務を2つも3つも担当するのが当たり前。何人もの同僚が過労死ラインの残業時間(月80時間)を超えるブラック環境でした。私も、泣きながら家に帰ったり、あばら骨が浮き出るほど痩せたりした経験があります。
残業が多いトップ3の【医療福祉・財政・人事】に配属されてしまうと、かなり辛いかもしれません。
2.誰でもできる仕事すぎて辛い
公務員の業務の多くは事務職で、専門性がいらないため誰でもできます。実際、私は30代〜50代の先輩職員から仕事を引き継いだ経験が何度もあります。また、先輩の中には、若手時代に配属された部署に10年ぶりに戻ってきて、同じ業務をしている人もいます。
誰がやっても同じ仕事ばかりやっていると、自分の存在意義が分からなくなるし、やりがいを感じられなくて辛いですよね。とはいえ、その部署の中で何をやりたいのかは融通が効くので、自分次第で新規事業や懸案事業など、裁量のある業務を担当することも可能です。
3.災害・コロナ等の緊急対応が辛い
台風や地震などの災害、コロナなどの突発的な事案が発生すると、夜間休日関係なく呼び出しがあります。夜に突然電話が来て「明日から〇〇に応援に行って欲しい」なんてことも。
また、台風が接近していたり、大雨の予報がされたりすると、招集の可能性があるからリラックスできないし、外出もできないしお酒も飲めません。
いつ呼ばれるか分からないから、常に仕事している気分で結構辛いんですよね。
4.客を選べなくて辛い
役所に来庁したり電話したりする人の中には、次のように怒鳴り散らすハードなクレーマーもいます。

お前たち公務員は人様の税金で食っているのだから、お前の方が立場は下だ!
話は最後まで聞け!おれのためにお前らが奉仕するのは当然だ!
こういう人って、態度が増長して攻撃的なんですよね。ところが、問題のある人だからと言って、無下に扱ってはいけないのが公務員の辛いところ。全体の奉仕者であるからこそ、着信拒否や出禁対応も簡単にはできません。
電話や面会を切ろうとしても中々終わらせてくれないし、半ば強引に切ると更なるクレームに発展するんですよね。
5.給料が低いし上がらなくて辛い
総務省の調査によると、令和2年度の地方公務員(一般行政職)及び民間企業の平均初任給は以下のとおりです。
地方公務員 | 民間企業 | |
高卒 | 約15.4万円 | 約18.0万円 |
短大卒 | 約16.7万円 | 約20.0万円 |
大卒 | 約18.8万円 | 約22.5万円 |
民間企業と比べてもかなり低いのが分かります。そして、ここからほとんど給料が上がっていかないのが公務員の辛いところ。私が22歳の時の基本給は17.5万円、27歳の時で20.3万円でした。1年間で5〜6千円しか上がりません。
私の場合、27歳の時には妻と子どもがいて幾らかの手当は入りますが、それでも月の手取り額は23万円あるかないか。生活はかなり苦しく、日々の生活で精一杯です。
6.異動がガチャすぎて辛い
毎年行われる意向調査は本当に形だけ。意向だけを重視すると、人気部署と不人気部署で配置にバラつきが出るので、理解はできます。
とはいえ、前部署と全く関連性がない部署、自分の経験やスキルが活かせない部署に配属されると、自分のキャリアを職場が勝手に決めている感じがしてモヤッとしますよね。
実際わたしも一度も希望が通ったことはないし、50代の上司も、「20年近く希望を出し続けたら、一度だけ行きたかった部署に配属されたことがあるよ。」と話していました。
7.世間のイメージとギャップがあって辛い
公務員に対する世間のイメージについて、昭和63年に行われた世論調査があります。
概要は以下のとおりです。
- 44%が、公務員の給料は民間よりも「高い・どちらかと言えば高い」と思っている。
- 80%が、公務員の在職中の生活は民間のサラリーマンより「恵まれている」と思っている。
なぜそう思うのか(上位3つを抜粋)- 65%「身分が保証されている」
- 60%「堅実で生活が安定している」
- 47%「残業が少なく、有給休暇を取りやすい」
古い調査とは言え、Yahoo!知恵袋などで「公務員を辞めたい」という人の悩みを見ても、上記同様に、
- 「ラクな公務員を辞めたいと思う人が民間で通用するわけない。」
- 「高い給料もらって恵まれているくせに何贅沢言ってんの?」
という批判的な意見が目立ちます。実際は、残業が多かったり給料は低かったり、メンタル病みやすかったりと、そのギャップはかなり大きいです。実情を理解してもらえないのは、けっこう辛いですよね。
8.独特な人間関係が辛い

公務員は完全な縦横社会です。年功序列なので年上が絶対的に偉く、年下上司なんて国からの出向以外ではほぼいません。さらに、定年まで働き続けることが普通なため、敵を作るとやっていけません。そのため、同期等との横のつながりが強固になります。
実際、上司を見ると、30年来の同期と付き合いがある人が大勢います。また、長く働くと大抵どこの部署にも知り合いがいるようになります。
身内同士で固まり、外部の人間を排除する、田舎の村八分のような人間関係になりがちなので、仕事は仕事と割り切りたい人はかなり辛いです。
9.年功序列制度が辛い
年功序列制度の辛いところは次のとおり。
- 実績やスキルが昇進・昇給にほぼ反映されない
- 経験年数が評価されるから同僚と差をつけられない
公務員は与えられた仕事だけやっておけば給料がもらえるし、全員一律で昇給していきます。私の周りにも、なんで採用されたのか分からないような、仕事ができない(やらない)同僚がいます。
年功序列制度の下では、どんなに仕事を頑張っても、成果を出しても勤続年数だけが評価軸となります。評価が全て、とは言いませんが、誰にでも承認欲求はあります。それに、能力や実績が給料や役職に反映されないのって、けっこう辛いですよね。
10.意思決定までの道のりが長い
何かの意思決定をする際、自分でまず上司に説明するためのレク資料を作り、【室班長→担当副課長→総括副課長→課長・・・】と言った順で意思形成を図ります。この時のあるあるは次のとおりです。
- 室班長に指摘を受けて資料を修正したのに、課長からの指摘で元に戻す
- 同じ説明を全員にする
- 事前に資料を渡して目を通してもらうのは失礼にあたるらしい
- 上司の決断力が皆無。結局は「他県はどうしてるのか?」が判断材料
本当に非効率で、イライラする人も多いのではないでしょうか。
11.無能な管理職が多くて辛い
年功序列制度に基づき、経験やスキルではなく、勤続年数だけが評価されて昇格した管理職。優秀であるわけがないですよね。管理職に必要な、
- チームマネジメント
- リーダーシップ
- メンタルヘルスマネジメント
なんてものはありません。ただ日当たりの良い場所に座って指示を出すだけの人です。中には指示すら出さず、自分1人で仕事をするような人もいるし、残業が多くて大変な職員がいるのに、残業申請だけ指示して終わりにするような人もいます。
12.残業を神聖視しすぎて辛い
公務員ほど残業を神聖視する職場はありません。なぜなら職員としての評価軸が実績やスキルではなく、勤続年数だからです。与えられた仕事だけをやっていれば自然と給料が上がります。
ですので、新しいことに挑戦したり、仕事のやり方を変えたり、勉強などして成長を求めたりする人はごくごく一部です。結果、職員一人当たりの能力が低いので残業が常態化してしまいます。
「みんな残業するのが当たり前」になってしまい、早く帰る人は仕事をしない(やる気ない)人、残業する人が頑張っている人という構図の完成です。
13.事なかれ主義すぎて辛い
公務員ほど事なかれ主義な職場はありません。
- 数年に一度必ず異動がある。
- 年功序列制度によって、実績やスキルが評価されない。
- 年功序列制度によって、年齢だけで昇進した無能管理職が多い。
と言うここまで3つの説明。こんな環境で、新しいことに挑戦したり、既存のやり方を変えたりする組織風土になるわけがないですよね。実際わたしの同僚も、

波風立てずに大人しく仕事した方がいいよ。どうせすぐに異動になるし、別に給料が上がるわけでもないからね。
という人がほとんどです。上司も、何かを検討する際には「他県ではどうしているのか。」という発言が最初にあります。誰かがやらなければ動かない人が組織全体に多いので、やる気のある人ほど辛いです。
14.メンタルを壊しやすい
地方公務員と民間企業における、メンタルヘルス不調による休職者率は次のとおりです。
地方公務員 | 2.3% |
民間企業 | 0.5% |
公務員は、民間企業の約5倍もメンタル不調になりやすいということです。
ここまで読んでくださった方は、決して公務員という人間が弱いからではない、と言うことがお分かりでしょう。
実際、私がいた福祉系のブラック部署では、正確な人数を言ってしまうと身バレしてしまうほど、たくさんの人が休職していました。他にも、上司からいびられて病んでしまった人、仕事の難易度が低過ぎて病んでしまった人もいます。
休職しても職員定数は法令で決まっているため、すぐには増員できません。結果、誰かの負担が増え、1人の休職が次の休職に。計4人以上の休職スパイラルに陥った部署もあるんです。
公務員に向いている人の特徴3選

公務員に向いている人の3つの特徴は次のとおりです。
- 気軽に相談できる人がいる
- 真面目過ぎない(楽観的)
- コミュニケーション能力がある
働く上で、公務員も民間も必ず辛いことがあります。その時に相談できる人がいるか、SOSに気づいてくれる人がいるかは非常に重要です。これまで数々の休職者を見てきましたが、全員、上記3つとは反対の性質を持っていました。
真面目であまり人付き合いが得意ではないので、限界まで一人で仕事を頑張って、突然、職場に来れなくなってしまうんです。
公務員の仕事の多くは誰でもできるので、専門的なスキルではなく、コミュ力などパーソナルなスキルを持つ人の方が向いています。
民間と公務員どちらも違うベクトルの辛さがある

民間企業と公務員どちらの方が辛いのかは、ネット上でも度々議論されているところです。結論、どちらにも辛いこともあれば楽しいこともあり、その苦楽は別種類です。
例えば、民間企業の辛いところをネットで見ると、大きく次の4つが挙げられます。
- 給料が上がらない
- ノルマ(競争)がある
- 転勤がある
- 会社が大きくないから一度人間関係がこじれると辛い
確かに、公務員は毎年の昇給が約束されているし、ノルマもない。地方公務員なら転勤もありません。反対に、公務員特有の辛さもあります。「みんな違ってみんな良い」と言うように、どの業界でも辛いことはあるし、それを辛いと思うかどうかも、みんな違うんです。
ですから、公務員が辛いと感じることはおかしいことではないし、甘いわけでもありません。
公務員の辛さに耐えきれなくなる前に行動を起こしましょう

公務員の辛さを改めてまとめると次のとおりです。
残業が多すぎる部署がある、誰でもできる仕事すぎる、災害・コロナ等の緊急対応で心が休まらない、客を選べない、給料が低いし上がらない、異動がガチャすぎる、世間のイメージとギャップがある、独特な人間関係、年功序列制度、意思決定までの道のりが長い、無能上司が多い、残業神聖視、事なかれ主義すぎる、メンタルを壊しやすい
辛いと感じることは甘えでも贅沢でもないことに気づいたのなら、今すぐ転職しようとは言いません。まずは、自分の強みや才能などを調べることから始めてみてはいかがでしょうか。
未来のために行動を起こすだけで、辛い気持ちがスッとラクになるんです。逆に、今なにも行動を起こさなければ、辛い状況が変わることはありません。
この記事は下記に収録されており、公務員の将来性や自分の強みの見つけ方、転職方法などを解説しています。ぜひご覧ください。
(記事作成中)